青森黒石温泉郷・秘湯ランプの宿「青荷温泉」携帯電話、インターネット、テレビの無い生活ができますか?

ロビー

泉  質   炭酸泉(源泉温度 45~60℃)
効  能   神経痛、リューマチ、疲労回復
風  呂   4箇所(うち露天風呂又は露天風呂付 2 箇所)
部  屋   本館、離れ3棟 全32室

はじめに

青荷(あおに)温泉は、青森県黒石市黒石温泉郷にある一軒宿の秘湯です。温泉郷の他の温泉地からはかなり離れた、南八甲田山系の櫛ヶ峯と雷山(いかづちやま)のと間を縫うように流れる青荷川の渓流沿いにあります。黒石温泉郷の一つ板留温泉で旅館を営んでいた裕福な家に生まれ青森県歌壇の草分け的存在ともいえる歌人の丹羽洋岳(ようがく)が、1929(昭和4)年、この地に小屋を建て、妻子とともに移り住んだことがこの温泉の始まりです。この時、洋岳42歳。子供の頃に大病を患い、体の一部が不自由でした。山懐深く、大自然に囲まれた秘境ともいえるこの場所で、世間を避けるように暮らす、不惑の歳を少し超えた彼の心境はいかばかりであったのでしょうか。
彼がつくった歌
「冬篭(ふゆごも)る山家の窓の氷紋(ひょうもん)はただに険しき世のものならず」
歌の意味としては、訪れる人もない雪深い山中の私の家。窓についた氷(つらら?)のかたちは、この厳しい自然環境が生んだものとは思えないほど美しい。となるでしょうか。
北国の寂寥とした白一色の冬景色の中、珍しく晴れわたり、家の窓から見た軒先のつららが陽の光で輝いている様を思い浮かべました。

月日は巡り、洋岳の家は現在、ランプの宿「青荷温泉」として人気の温泉宿となっています。道路は整備されましたが、昭和の初めの頃と変わらず旅館の周囲は大自然に囲まれた秘湯で、日常のわずらわしさから逃れてきた旅人の心を温泉が芯まで温めてくれ、渓谷から聞こえるせせらぎの音や鳥の声が非日常へといざなってってくれます。

施設全景

この宿の魅力は、前述のように周囲の大自然や、4箇所もあるかけ流しの温泉です。勿論これだけでも十分に素晴らしいのですが、同じような条件の秘湯は日本中を探せばたくさんあるはずです。人々をこの宿に惹きつけてやまないのは、やはりランプの宿ということではないでしょうか。暮れなずんでくると、ランプの光が仄かに部屋を照らしてくれます。現代の日常生活では暗すぎる光ですが、慣れてくるとそれが逆に心地よく感じられます。ランプのゆれる小さな炎は、いつまでも眺めていられ、いつの間にかあたりは漆黒の暗闇に包まれます。宿に電力は供給されていますが、客室や食堂、風呂、廊下などの照明は全て灯油ランプです。全32室に宿泊客がある日は、140個のランプを点灯して配るのに、約2時間かかるそうです。

青荷温泉は山々に囲まれさらに谷底にある関係上、無線電波不感地域で、携帯電話の通話やインターネットの利用はできません。又、テレビ、ラジオの視聴もできません。加えて、電源コンセントも客室にはありません。世間から隔絶し、何ものにも邪魔されない環境で、穏やかな時間を過ごすことができます。皆さんは、携帯電話、インターネット、テレビの無い生活ができますか?(笑)

風呂

館内には、炭酸泉の源泉かけ流しの風呂が4箇所あります。弱酸性でお湯の中に炭酸ガスが溶け込み、血行を促進し、酸素や栄養分を全身に行きわたらせ、体内の老廃物を体外へ排出します。細胞の新陳代謝が活発になることでお肌を引き締め、美肌や肌の老化防止、そして神経痛や疲労回復などの効果が期待できます。又、実際の湯温より2~3℃温かく感じるため、体の芯から温まり、湯上り後、ぽかぽかと温かい状態が持続するのも特徴です。

健六の湯(男女別)

施設内の温泉に水道やシャワーは無く、この上がり湯ももちろん温泉です。温泉成分をまとったまま湯から上がれます(笑)。

浴槽

トラス構造の梁が見える天井は高く開放感があります。お湯は源泉かけ流しです。
津軽弁の注意書きが楽しいです。施設内にはそこかしこに津軽弁が(笑)

本館内湯(男女別)

浴槽

本館内湯は比較的小ぶりですが、その分落ち着いて入浴ができます。

露天風呂 混浴※レディースタイムあり)

露天風呂
露天風呂

大きな露天風呂は混浴です(レディースタイムあり)。ランプの灯りしかない夜は、他人のことは全く気になりません。

滝見の湯(男女別)

滝見の湯は自然の滝を眺めながら入浴できる贅沢なお湯です。大自然の緑にかこまれ、滝の音と鳥さえずり以外は何もない世界。心の底からリラックスできます。

内風呂
離れ2棟(左手奥がお堂)

宿の裏手の渓流にかかる吊橋を渡った目の前に茅葺屋根(現在鉄板葺き)のお堂(現在は離れとして宿泊可)があります。ある夜、洋岳の夢枕に日蓮上人が立ち、いろいろ励ましてくれたとの話を聞いた麓の日蓮宗遠光寺(おんこうじ 黒石市温湯鶴泉所在)の檀徒たちが、洋岳の信仰を支えるため、あらゆる場所から人々が集う場所との意味合いの十方堂を建てたことが起源です。

当時、堂内の祭壇には日蓮上人の座像がまつられ、洋岳は朝夕礼拝を欠かさなかったといいます。宿泊したこの日は丁度満月で、お堂や周りの木々、渓流が月明かりに照らされて、幻影のように浮かび上がり、この世のものとは思えない光景が広がりました。

館内
大広間(食堂)

夕食(朝食)は広さ52畳の大広間でいただきます。天井には数十個の灯油ランプが吊るされ、その様はまるで、天空に多くの月が輝いているように見えます。ちなみに、お酒が入ると、ランプが浮遊しているように見え、さらに幻想的になります。もとい、これは私だけかもしれません(笑)。

さいごに
青荷川にかかるつり橋

青荷温泉は、新緑、避暑、紅葉、雪景色等、世間から隔絶した大自然の中で、四季を通じて温泉を楽しめ、穏やかな時間を過ごすことができます。時間に余裕があれば昼間丸1日、温泉三昧ができる2泊3日以上(筆者は2泊3日)をお勧めしますが、1泊2日でも日の高いうちにチェックインし、翌日のチェックアウト時間までいればセカセカすることなく温泉を十分堪能することができます。連休等繁忙期は、かなり前から予約をとらないと宿泊できませんので、早めに旅行サイト等でチェックしたほうが良いでしょう。車で行く場合、特に夜ですが、尾根筋の道路から温泉に降りる道路表示を見落とし、山道を奥へ奥へと進んでしまうことがありますので、ご注意ください。私が行ったときは、レンタカーのナビをセットしたものの、あらぬ場所に案内され、だいぶん行き過ぎてしまいました。夜の山道は明かりもなく怖いです(~_~;)できれば、日暮れまでに到着しておいた方がよいでしょう。国道102号線から宿までの青荷山道は例年12月1日から通行止めとなります。車は国道沿いにある「道の駅・虹の湖」へ駐車し、シャトルバスで宿へ向かいます。

(参考文献)
ウイキペディア
ランプの宿「青荷温泉」ホームページ
黒石市ホームページ

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